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    第14回 2005年3月13日(日) 
        『末永みやことの出会い』    
        
        7年前。 
        高校を卒業して上京したてだった私は、新しい環境にまだ馴染めていなかった。 
        [末永みやこ] 
        彼女と出会ったのは、その頃です。 
        今日はちょっと真面目なお話。 
         
        私はめっぽう初対面に弱く、物凄い人見知り派です。 
        それに付け加え、昔からの老け顔が災いしてか、周りも怖がって話しかけてくれない。 
        一人も知り合いがいない東京の学校に慣れるには、随分時間がかかったモノです。 
        そんな中、口数少ない私に、必要以上に高いテンションで近付いて来る女がいました。 
         
        「私、末永みやこ!よろしくねっ☆」 
         
        …何だ、この娘。 
        えらく小さな体で、ピョンピョン飛び跳ねる様にやってきた。 
        しかも朝っぱらから。 
        しかし「よろしくねっ☆」って何?目キラキラ輝かせちゃって…。 
        地元の友達は、のんびりまったりした娘が多かったので、このハイパーテンションにどう接すれば良いモノなのか… 
        私には術がなかった。 
        「え?…あ、よろしく。」 
        今、考えると随分ぶっきらぼうな対応だったと思う。 
        悪気はないのに、初対面だとどーしても顔が固まってしまう。 
        それでもみやこはめげない。 
        「ねーねー、友里ってさぁ…」 
        友里っ!? 
        私まだ、この娘の名字も覚えてない。 
        しかもとてもじゃないケド、同い年とは思えない。 
        どこからどぉ見ても中学生か、100歩譲って高校生だ。 
        若々しいパワーとテンションで、みやこは続ける。 
        「何でこの学校来たの?地元どこ〜?」 
        元気だ。すこぶる元気だ。 
        低血圧な私はその時、ぶっちゃけ頭が痛かった。 
        (あぁ、仲良くなれなそう…) 
        私の正直な心情だった。 
        後に聞いてみると、みやこも私に全く同じ印象を抱いていた様だ。 
        だったらナゼゆえ、あんなフレンドリーに話し続けたのか?謎だ。 
         
        しかしそんな悪印象同士の二人が、7年後もこぉして一緒にいる。 
        人生って面白い。 
         
        みやこは凄く人あたりが良く、面倒味がいい。 
        みんなに頼られる。 
        きっと私の5倍は、友達がいると思う。 
        いつも誰かの相談を聴いているイメージ。 
        私には逆立しても出来ない代物だ。 
        本当に凄いと思う。
              
       
だけど自分がいっぱいいっぱいになると、信じられない位弱くなる。 
夜な夜な電話してきて号泣したりする。 
私はそーゆう人間くさいみやこが好きだ。 
完璧じゃなくていい。みんなそぉなんだと思う。 
 
私達は二人で6時間位、話し込んだりする。 
くだらない話やただのグチだ。女同士だなって思う。 
私達は二人で6時間位、カラオケしたりする。 
凄いストレス解消だ。バカだなって思う。 
でも私はそんな時間が大切だ。 
 
私はみやこに平気で「何でそんなバカな事するのっ?」って怒るし、みやこは私に平気で「今の顔ブサイク〜!(笑)」って笑う。 
嫌な事はイヤと言い、相手が喜ぶ事をしてあげたいと心から思う。 
悲しかったり嬉しかったりする気分を共有出来る。 
そんな相手。 
きっとみんな、そんな相手が1人位いるのかな? 
いたら良いなと思う。 
 
えーと…、だから今日は、実は、みやこと私の仲を紹介したかった訳じゃなくて、 
みんなにもそんな相手がいるなら、その関係を大切にして下さいって事が言いたかったのです。 
…て、何か偉そうな言い方だな。 
でも本当に。 
 
今回の作品[VANISH]は、そんなお話です。 
大切な人を、大切にする。 
舞台上には、それを出来なかった人や、している人、したい人が出てきます。 
大切な人がいても、いつの間にかそばにいる事が当たり前になってしまって、気持ちを素直に伝えられなかったり、思いやりがなくなってきたりしてしまいます。 
だけど、その人がいる事は決して当たり前の事じゃない。 
だから出来る時に出来る事を。 
私は、そう思います。 
舞台上の人々は、どう悩んだり、成長したりしていくのでしょうか。 
皆様にも、自分と似ていたり、共感を憶える役があるカモしれません。 
色々な[想い]の詰まった、今回の作品。 
いよいよ来週、開幕です。 
劇場に足をお運び頂いた皆様に、帰り道、大切な人に逢いたくなってもらえたら嬉しいです。 
 
まぁとりあえず私も、自分の出来る事をして。 
私は7年前の出会いを今でも大切にしています。    
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